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未来をつくった男・小林一三はタイムトラベラーだった!かも。

2019/08/09

池田市小林一三記念館

池田大好きライターアン

こんにちは!池田大好きライターのアンです。

五月丘小学校から池田駅に向かって下っていくと、閑静な住宅街に武家屋敷のような門構えの邸宅が現れます。
入口に「雅俗山荘(がぞくさんそう)」「小林一三記念館」と案内があり、ここが阪急グループ創設者・小林一三さんの記念館だとわかります。

小林氏ご夫妻が住んでいた住居で、当時の姿を再現した上で、資料や茶室などが一般公開されていることはこれまで聞いて知っていました。

この日はとても暑かったせいもあり、ちょっと立ち寄ってみることにしましたが、このあとここで過ごすわずかな時間で私が小林一三の大ファンになるとは、この時には想像もしていませんでした。

館内にある「阪急電車」 そこは時間を超えた空間

まずは順路に沿って「白梅館」に入りました。2016年に新設されたそうです。

ここには阪急電車を模したユニークな空間が広がり、私たちは電車の中から「箕面」「梅田」「神戸」「宝塚」「東京」行きの部屋へ移動できるようになっています。電車の中にいる現在の私たちが、出入口をくぐり抜けて小林一三さんがいた過去へタイムトラベルできるつくりになっています。

一番印象に残った「箕面」の部屋をご紹介します。
「箕面」行きの出口をくぐると、明治の終盤、鉄道が新しく生まれる頃の様子が目に飛び込んできます。双六(すごろく)に見立てた鉄道の旅案内、「箕面有馬電気軌道」を宣伝する美人画ポスター、箕面動物園(ん?箕面に動物園が?)、 宝塚パラダイス・・・。まさに、タイムトンネルをくぐったような感覚に襲われます。

池田市小林一三記念館

池田市小林一三記念館

同時に、小林一三さんが日本人の生活の中にいかにして「鉄道」という新しい価値を浸透させていこうと創意工夫を凝らしていたかがうかがえます。ノスタルジーを感させるデザイン空間の中にきらりと光るこんなキャッチを見つけました。

池田市小林一三記念館

「如何なる土地を選ぶべきか 如何なる家屋に住むべきか」
「田園趣味に富める楽しき郊外生活」

日本初の企業情報誌と言われる「最も有望なる電車」というパンフレットには、現在のWEBサイトでも有用な「よくあるご質問」まで載っています。

当時の日本人には大きなインパクトがあったでしょうね。多くの人の心に響いたであろうことは、その後の住宅事業の成功が物語っています。小林一三さんが「伝え方」「見せ方」の天才であったことがわかります。

「アイディアの神様」の努力

梅田から池田を歩いて2往復?!

新しい鉄道事業をどうやって成功に導くか?!小林一三さんは徹底的に考えたようです。それもそのはず、これから鉄道を通す池田、箕面エリアは限りなく広がる田園風景で、人はほとんど住んでいなかったとか。

梅田から池田まで線路敷設予定地を実際に歩いたそうです。歩いて2往復する中で具体的な構想が生まれてきたといいます。
鉄道沿線に郊外住宅を開発し、そこに住む人を増やすことで鉄道サービスを活性化させる。そして、沿線沿いに商業施設を設けて人々に豊かで新しいライフスタイルを提供し、人生を楽しんでもらう。まだ何もない田園風景を見る小林一三さんの目には未来の生活がしっかり映し出されていたのでしょう。

「アイディアの神様」の努力は、人並み外れたものでした。何もせずともアイディアがひらめいたのではなかったのですね。

「日本初」のオンパレード!!

郊外住宅の割賦販売(今の住宅ローン)、駅直結のデパート、宝塚歌劇団、レジャーランド・・・いずれも小林一三さんが生み出した「日本初」の取り組みです。さらに、電力事業、プロ野球チーム、映画配給、航空業界(PanAm)との提携、そして政界への進出・・・書き切れないほどの試みにチャレンジし、成功させてきた小林一三さんには、日本がどのように変わっていくのか、どのように変えていくのか、つまり「日本の未来」が見えていたんでしょうね。

そう確信できるほど、今の私たちの生活は小林一三さんが手掛けた事業の発展によって豊かになっていることを痛感しました。

時代の先を行く雅俗山荘での暮らし

白梅館から「雅俗山荘(がぞくさんそう)」へと進みました。

創業からかかわり続けた池田の地を愛した小林一三さんは、五月山のふもとに、芸術と生活とを一緒に楽しむための住まい「雅俗山荘」をつくりました。阪急電車の広告などでも見かける印象的な外観の建物です。文化庁の有形文化財にも登録されているそうです。

お城かと思うような圧倒的な優雅さを感じさせるエントランスを入ると、またしてもタイムトラベルします。

順路は右手の大きな吹き抜けの客室へ。
広々とした空間に暖炉があり、大きな窓から差し込む光と、シャンデリアの優しい光が混ざり合います。「雅俗(がぞく)」という名称には「雅=芸術」と「俗=生活」が一体となった場所であるという意味が込められているそうです。美術品を展示する棚もあり、室内のハーモニーの美しさにハッと息を飲みました。

雅俗山荘

1F客室の奥には、サンルームを改築した邸宅レストラン「雅俗山荘」があります。
今回は利用しませんでしたが、文化財や調度品に包まれて、手入れの行き届いたお庭を眺めながらいただく本格フレンチを、ぜひ一度は味わってみたいものです。

小林一三記念館雅俗山荘

2階にはプライベートスペースが復元されていて、30年ほど前の住居が、今まさに住みたいと思う間取りであることに気付きました。
夫妻の過ごすスペースはそれぞれに確保されており、西洋風にトイレや浴室が2つずつあります。夫人の部屋には隣接して家事室があるなど、動線がしっかり確保されていますし、ウォークインクローゼットまであります。

文化財にもなっている茶室

事業経営が軌道に乗り始めた頃から茶道を学び始めた小林一三さんは、昭和になると茶会が開けるほどに道を究めていて、雅号を「逸翁」と名乗りました。
雅俗山荘の庭は本格的な日本庭園で、中にはお茶室が3つもあります。

特に印象深かった茶室「即庵」。畳の茶室に接する土間にはずらりと椅子が並んでいます。椅子に座ってお茶をたしなむという逸翁独自のアイデアです。
伝統の持つ風情と、現代の快適な生活とを融合した空間として高く評されています。

逸翁さんが何を想い、ここでの時間を過ごしていたのかを私たちも想像しながら見学すると、タイムトラベルや空想がミックスした何とも楽しいひと時になりました。

小林一三記念館茶室

小林一三記念館茶室

小林一三記念館茶室

 

逸翁の美術コレクションはこちらで

逸翁さんは多くの美術工芸品を愛し、収集していました。
現在、5000点余りの美術工芸品が「逸翁美術館」に収蔵されていて、テーマにあわせて年4回の展覧会が開催されているそうです。逸翁美術館についても当メディアで別途ご紹介しています。

阪神間モダニズム

小林一三さんの美意識は阪急電車の車両にも表れています。

「阪急マルーン」と呼ばれる車体の色、高級生地を採用した「ゴールデンオリーブ」の座席、今も受け継がれ、守られているこれらの上質で心地よいカラーに小林一三さん自身がこだわったそうです。

この美意識はのちに「阪神間モダニズム」とも相まって、神戸、芦屋、西宮、宝塚を中心に生活文化として育まれます。現在、私たちの中に神戸や北摂は品が良いというイメージがあるのも、当時の小林一三さんの生み出したイメージが影響しているのかもしれないと思うと、その想像力、開発者魂の壮大さに感動すら覚えます。

 

「池田」という地で生まれた稀代の偉人たち

時間を忘れて、すっかり長居してしまいました。

小林一三さんの人生を追う時間はまるでタイムトラベルのようでした。時空を超越したかのような発想力と実現力に、小林一三さんが稀代の偉人であることを思い知らされました。そして、すっかりファンになりました~♪

池田の偉人と言えば、安藤百福さんもよく知られています。チキンラーメンを発明し、世界にインスタントラーメンを広めた発明家です。安藤百福さんも池田で暮らし、この地で大発明を成し遂げたことを思い出しました。

とてつもない大成功を成した二人の偉人を育んだ池田という地は、どこかに見えないトンネルがあって、過去と未来に通じているのではないかとさえ思います。
そして、お二人がいつも私たちに未来へのヒントを示してくれているのではないか?なんて感じました。

池田市には「織姫伝説」や「龍神伝説」などもありますし、もしかしたら新しいものを生み出したり、創り出したりするのに適した場所なのかもしれませんね。つまりパワースポット???ん~、まんざら空想でもないかもしれませんね~♪

私も、偉業とまではいかなくても、偉人たちの功績を学んで常に新しいことにチャレンジする気持ちを持ち続けたいものです。そんな思いを巡らせながら、池田駅への道を急ぎました。

ライター

アン

アン

池田大好きライターです。大阪府池田市には素敵なおでかけスポットがたくさんあります。私のおすすめなら間違いなし!